最終更新日: 2025年8月22日
HubSpotアカウントの基盤となるのは、CRM(顧客関係管理)と呼ばれる、ビジネス上の関係性とプロセスのデータベースです。このデータを管理するために、HubSpotアカウントには関係やプロセスのタイプを表すオブジェクトが含まれています。レコードと呼ばれるオブジェクトの個々のインスタンスは、各オブジェクトタイプに属する個々のエンティティーを表します(例:山田太郎は「コンタクト」です)。各レコードにデータを格納するには、プロパティー(Eメールプロパティーなど)を使用します。個々のエンティティー間の関係を表すには、レコードを互いに関連付けることができます(例:山田太郎を海山商事に関連付ける)。CRMレコードには、Eメール、コール、ミーティングなどの関連付けられたエンゲージメントやアクティビティーを介したインタラクションに関する情報を格納することもできます。以下では、CRMオブジェクト、レコード、プロパティー、関連付け、パイプライン、およびCRM検索について説明します。HubSpot内からCRMデータベースを管理する方法の詳細については、HubSpotのナレッジベースをご確認ください。

オブジェクトAPI

オブジェクトAPIは、レコードとアクティビティーへのアクセスを提供します。サポートされるオブジェクトについては、オブジェクトエンドポイントを使用して、リクエストURLの{objectTypeId}を目的のオブジェクトに置き換えることができます。例えば、コンタクトを作成するにはPOSTリクエストをcrm/v3/objects/0-1に送信し、コースを作成するにはcrm/v3/objects/0-410に送信します。さまざまなオブジェクト用にオブジェクトエンドポイントを使用する方法については、こちらの記事をご参照ください。

注:

一部のオブジェクトではAPI機能に制限があります。詳細については、以下の表にあるオブジェクトのエンドポイントのリファレンスドキュメントへのリンクをクリックしてください。表内にオブジェクト固有のドキュメントが掲載されていない場合は、オブジェクトAPIのドキュメントを参照して、各エンドポイントの{objectTypeId}を目的のオブジェクトに置き換えます。

オブジェクトタイプID

CRM APIやその他のAPIを使用する場合は、objectTypeIdフィールドを使用する必要があります。これは、各オブジェクトに割り当てられる固有の数値です。例えば、レコードを取得するにはGETリクエストを/crm/v3/objects/{objectTypeId}に送信し、オブジェクトのプロパティーを作成するときにはPOSTリクエストを/crm/v3/properties/{objectTypeId}に送信します。オブジェクトタイプIDの値を以下の表に示します。
タイプIDオブジェクト説明
0-2会社企業や組織についての情報を格納します。詳細は会社APIをご確認ください。
0-1コンタクト個人に関する情報を格納します。コンタクトAPIを確認してください。
0-3取引パイプラインステージを通じて追跡される営業の商談と取引を表します。詳細は取引APIをご確認ください。
0-5チケットパイプラインステータスを通じて追跡される顧客からのサポート依頼を表します。詳細はチケットAPIをご確認ください。
0-421アポイントメント個人向けに予定されている会合やサービスを表します。詳細はオブジェクトAPIをご確認ください。
0-48コールレコードに関連付けられている通話のやりとりを表すアクティビティーの一種です。詳細はコールAPIをご確認ください。
0-18コミュニケーションレコードに関連付けられているSMS、LinkedIn、WhatsAppメッセージのやりとりを表すアクティビティーの一種です。コミュニケーションAPIを確認してください。
0-410コース構造化されたプログラムまたは一連のレッスン、トレーニング、または教育関連モジュールを表します。詳細はオブジェクトAPIをご確認ください。
2-XXXカスタムオブジェクト既存のオブジェクトに適合しないデータを格納します。カスタムオブジェクトのobjectTypeIdを確認するには、GETリクエストを/crm/v3/schemasに送信します。詳細はオブジェクトAPIをご確認ください。
0-49Eメールレコードに関連付けられている1対1のEメールのやりとりを表すアクティビティーの一種です。詳細はEメールAPIをご確認ください。
0-19フィードバック送信フィードバックアンケートに送信された情報を格納します。フィードバック送信はコンタクトレコードに関連付けられます。詳細はフィードバック送信APIをご確認ください。
0-53請求書販売取引に関して送信された請求書を表します。請求書には、コンタクト、会社、取引、商品項目、割引、手数料、および税金を関連付けることができます。詳細は請求書APIをご確認ください。
0-136リード製品やサービスに関心を示した潜在顧客を表します。詳細はリードAPIをご確認ください。
0-8商品項目取引において販売する個々の製品とサービスを表します。商品項目は、製品ライブラリーに登録されている既存の製品から作成したり、単独で作成したりすることができます。詳細は商品項目APIをご確認ください。
0-420掲載情報購入、販売、賃貸する不動産や設備を表します。詳細はオブジェクトAPIをご確認ください。
0-54マーケティングイベントマーケティング活動に関連するイベント、具体的には、接続した連携機能からのイベントなどを表します。コンタクトがマーケティングイベントに出席、参加登録、キャンセルしたかどうかを指定できます。詳細はマーケティングイベントAPIをご確認ください。
0-47ミーティングレコードに関連付けられているミーティングのやりとりを表すアクティビティーの一種です。詳細はミーティングAPIをご確認ください。
0-46メモレコードに関連付けられたメモを表すアクティビティーの一種。詳細はメモAPIをご確認ください。
0-123注文eコマース購入をHubSpotで表します。詳細は注文APIをご確認ください。
0-101支払い請求書、支払いリンク、見積もりを通じて購入者が行う支払いです。支払いには、コンタクト、会社、取引、請求書、見積もり、商品項目、サブスクリプション、割引、手数料、および税金を関連付けることができます。詳細は支払いAPIをご確認ください。
0-116郵便レコードに関連付けられた郵便物のやりとりを表すアクティビティーの一種です。詳細は郵便APIをご確認ください。
0-7製品販売する商品やサービスを表します。製品を他のCRMオブジェクトに関連付けることはできませんが、製品に基づいて商品項目を作成し、それらを取引や見積もりに関連付けることができます。詳細は製品APIを確認してください。
0-14見積もり潜在顧客に共有する価格情報を表します。見積もりを取引、商品項目、見積もりテンプレート(0-64)に関連付ける必要がありますが、見積もりをコンタクト、会社、割引、手数料、税金に関連付けることもできます。詳細は見積もりAPIをご確認ください。
0-162サービス顧客に提供される無形の製品を表します。例としては、導入支援やコンサルティング、修理やメンテナンス、パーソナルケアなどがあります。詳細はオブジェクトAPIをご確認ください。
0-69サブスクリプション支払いリンクと見積もりを通じて予定されている定期的な支払いを表します。サブスクリプションには、コンタクト、会社、取引、見積もり、商品項目、支払い、割引、手数料、および税金を関連付けることができます。詳細はサブスクリプションAPIをご確認ください。
0-27タスクレコードに関連付けられるTo Doを表すアクティビティーの一種です。タスクAPIを確認してください。
0-115ユーザーHubSpotアカウントのユーザーを表します。ユーザーを他のCRMオブジェクトに関連付けることはできませんが、APIを介して取得および更新することはできます。ユーザーの詳細APIを確認してください。
数値タイプのID値はいつでも使用できますが、コンタクト、会社、取引、チケット、メモはオブジェクト名を使用できる場合もあります。以下に例を示します。
  • インポートAPIでインポートを開始するときは、ファイル内のデータがどのオブジェクトに属するかをcolumnObjectTypeIdに指定します。コンタクトのデータをインポートするには、columnObjectTypeIdの値としてcontactまたは0-1を使用できます。
  • 関連付けAPIを使用するときは、fromObjectTypetoObjectTypeの値でオブジェクトと関連付けの方向を指定します。コンタクトと会社との関連付けタイプを確認するには、GETリクエストURLとしてcrm/v4/associations/contact/company/labelsまたはcrm/v4/associations/0-1/0-2/labelsを使用できます。

固有IDとレコードID

固有IDとは、CRM内のあるレコードを別のレコードと(仮にID以外の情報が同一であっても)区別するための値です。例えば、データベース内に名前が同じ2人の山田太郎さんのレコードが存在するとします。誤って他方の山田太郎さんに送金されることがないように、各レコードには「レコードID」として番号が割り当てられます。 HubSpotでレコードが作成されると、その「レコードID」(hs_object_id)が自動的に生成され、文字列として扱われます。レコードIDはオブジェクト内で一意です。したがって、コンタクトと会社のIDが同じになる場合があります。コンタクトと会社には、コンタクトのEメール(email)や会社のドメイン名(domain)など、他にも固有のIDがあります。また、カスタムの固有IDプロパティーを作成することもできます。 CRM APIでは固有のID値を使用して特定のレコードを識別し、管理します。レコードのhs_object_id値は常に使用できますが、idPropertyパラメーターで指定された特定のエンドポイントに対してカスタムの固有IDプロパティーを使用することもできます。例えば、コンタクトを編集するにはPATCHリクエストを/crm/v3/objects/0-1/{contactId}または/crm/v3/objects/0-1/{contactEmail}?idProperty=emailに送信します。HubSpotで重複の削除が処理される方法については、ナレッジベースをご確認ください。

関連付けAPI

HubSpotでは、オブジェクトがどのように相互に関連しているかを示すために、レコードを関連付けることができます。例えば、複数のコンタクトを会社に関連付けて、会社および関連するコンタクトを取引に関連付けることができます。 関連付けAPIエンドポイントを使用するときには、リクエストURLとリクエスト本文の中の{toObjectTypeId}{fromObjectTypeId}をオブジェクトに置き換えることができます。オブジェクト間でレコードを関連付ける前に、どのオブジェクトを相互に関連付けることができるかを理解するために、関連付けタイプを取得できます。例えば、コンタクトをほとんどのオブジェクトに関連付けることができますが、請求書を関連付けることができるのはコンタクト、会社、取引、商品項目、割引、手数料、および税金だけです。ご使用のサブスクリプションに応じて、関係ラベルを使用してレコード間の特定の関係の種類を記述できます。アカウントによっては、他の標準的なオブジェクトに関連付けることのできる追加のカスタムオブジェクトが存在することがあります。オブジェクト関係について、また関連付けエンドポイントによる関連付けの管理について詳しくご確認ください。 HubSpotアカウントへのアクセス権をお持ちの場合は、データモデルツールに移動して、アカウント固有のオブジェクト関係を確認することもできます。
データモデルの概要-更新版

プロパティーAPI

レコードに関する情報は、プロパティーと呼ばれるフィールドに格納された後、グループに分類されます。HubSpotでは、各オブジェクトにデフォルトのプロパティーセットが用意されています。オブジェクトごとのデフォルトのプロパティーに加え、カスタムプロパティーを作成することによって、カスタムのデータを格納できます。 プロパティーAPIを使用する場合は、エンドポイント内でオブジェクトに置き換えて、オブジェクトのプロパティーを作成および管理できます。例えば、コンタクトプロパティーの場合は/crm/v3/properties/0-1、チケットプロパティーの場合は/crm/v3/properties/0-5です。プロパティーAPIの使用について詳しくは、この記事をご確認ください。

検索API

プロパティーと関連付けに基づいてレコードやアクティビティーのフィルタリングおよび並び替えを行うには、検索APIを使用できます。検索エンドポイントを使用する場合は、{objectTypeId}の値を検索したいオブジェクトに置き換えます。例えば、コールを検索するにはPOSTリクエストを/crm/v3/objects/0-48/searchに送信します。CRM検索APIの詳しい使用方法については、こちらの記事をご参照ください。

パイプラインAPI

HubSpotでは、パイプラインを使用してプロセスにおけるレコードの進捗を追跡できます。例えば、営業プロセスの段階によって取引を追跡したり、サポートステータスによってチケットを追跡したりできます。パイプラインAPIを使用すると、パイプラインとパイプラインステージを作成、取得、編集、削除できます。パイプラインに対応するオブジェクトと、パイプラインAPIの使用方法については、こちらの記事をご確認ください。