サーバーレス関数リファレンス

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注:開発者プロジェクトの一部としてサーバーレス関数を作成する場合は、開発者プロジェクトのサーバーレス関数のドキュメントを参照してください。以下のドキュメントは、開発者プロジェクトプラットフォーム以外でサーバーレス関数を作成する場合に使用します。

APPLICABLE PRODUCTS
  • Content Hub
    • Enterprise

この記事では、サーバーレスの.functionsフォルダー内にあるファイルと、サーバーレス関数で使用できるCLIコマンドについて説明します。

サーバーレス関数の概要については、サーバーレス関数の概要をご確認ください。

JavaScriptのレンダリングされたモジュールとパーシャルのプロジェクトを使用してサーバーレス関数を作成する方法の詳細については、開発者プロジェクトのドキュメントをご覧ください。

serverless.json

.functionsフォルダーserverless.jsonファイルには、サーバーレス関数構成が保存されます。これは必須ファイルであり、これによって関数がエンドポイントにマッピングされます。

// serverless.json { "runtime": "nodejs18.x", "version": "1.0", "environment": { "globalConfigKey": "some-value" }, "secrets": ["secretName"], "endpoints": { "events": { "file": "function1.js", "method":"GET" }, "events/update": { "method": "POST", "file": "action2.js", "environment": { "CONFIG_KEY": "some-other-value" }, "secrets": ["googleKeyName","otherkeyname"] } } }
Use this table to describe parameters / fields
キーTypeDescription
runtime
必須
文字列

ランタイム環境。次のNode.jsバージョンをサポートします。

  • ノード18(nodejs18.x)(推奨)
  • ノード16(nodejs16.x
version
必須
文字列

HubSpotサーバーレス関数スキーマバージョン。(現在のバージョン1.0)

environment
オブジェクト

実行環境で、実行される関数に環境変数として渡される設定用変数。環境変数に基づいて、実際のAPIの代わりにテストバージョンを使用するロジックを追加する場合などに使用します。

secrets
配列

サーバーレス関数が認証に使用するシークレットの名前を含む配列。このファイルにはシークレット値を直接入力しないで、シークレット名の参照にとどめてください。 

endpoints
必須
オブジェクト

エンドポイントでは、functionsフォルダーにおいて、公開されるパスおよび特定のJavaScriptファイルへのマッピングが定義されます。エンドポイントの詳細については、以下で説明しています。

注:シークレットと環境変数に同じ名前を割り当てないでください。同じ名前を割り当てると、関数で値が返されるときに競合が発生します。

エンドポイント

各エンドポイントには独自の環境変数とシークレットを設定できます。エンドポイント外で指定した変数は、全ての関数とエンドポイントに適用する設定として使用されます。

"events/update": { "method": "POST", "file": "action2.js", "environment": { "configKey": "some-other-value" }, "secrets": ["googleAPIKeyName","otherKeyName"] }

エンドポイントにはいくつかの固有のキーがあります。

Use this table to describe parameters / fields
キーTypeDescription
method
文字列または文字列からなる配列

このエンドポイントによってサポートされるHTTPメソッド(複数可)。既定ではGETです。

file
必須
文字列

エンドポイントの実装があるJavaScript関数ファイルへのパス。

サーバーレス関数は、HubSpot CMSアカウントのドメインのパスを通して公開されます。これには、既定の.hs-sites.comサブドメインも含まれます。

これらの関数には、次のURLでアクセスできます。 

https://{domainName}/_hcms/api/{endpoint-name/path}?portalid={hubId}

以下では、各URLコンポーネントについて説明します。

Use this table to describe parameters / fields
ParameterDescription
domainName

自分のドメイン名。

/_hcms/api/

サーバーレス関数用に予約されたパス。このパスには、全てのエンドポイントが含まれます。

endpoint-name/path

serverless.jsonファイルで指定されているエンドポイント名またはパス。

hubId

自分のHub ID。これをリクエストに含めることにより、モジュールおよびテンプレートのプレビュー時に関数をテストできます。

関数ファイル

serverless.json構成ファイルに加え、.functionsフォルダーにも、関数を定義するNode.js JavaScriptファイルが含まれています。requestライブラリーを利用して、HubSpot APIや他のAPIへのHTTPリクエストを行うこともできます。

例として、以下のような場合が挙げられます。

// Require axios library, to make API requests. const axios = require('axios'); // Environment variables from your serverless.json // process.env.globalConfigKey exports.main = (context, sendResponse) => { // your code called when the function is executed // context.params // context.body // context.accountId // context.limits // secrets created using the CLI are available in the environment variables. // process.env.secretName //sendResponse is what you will send back to services hitting your serverless function. sendResponse({body: {message:"my response"}, statusCode: 200}); };

コンテキストオブジェクト

コンテキストオブジェクトには、次のパラメーターに格納された、関数の実行に関するコンテキスト情報が含まれています。

コンテキスト オブジェクト キー
ParameterDescription
accountId

関数が含まれているHubSpotアカウントのID。

body

コンテンツタイプapplication/jsonPOSTリクエストとして送信する場合に入力します。

contact

Cookieに紐付けられたコンタクトから送信されたリクエストの場合、コンタクトオブジェクトには、基本的なコンタクトプロパティーに加え、次の情報が含められます。

  • vid:コンタクトの訪問者ID。
  • isLoggedIn:CMSのアクセス権設定(メンバーシップ機能)を使用した状態で、コンタクトがドメインにログインしている場合はtrueになります。
  • listMemberships:このコンタクトがメンバーとして含まれる、コンタクトリストIDの配列。
headers

エンドポイントに対してクライアントから送信されたヘッダーが含まれます。

params

クエリー文字列値、およびHTMLフォームによるPOST値が入ります。文字列によるキーと、文字列の配列による値から成るマップとして構成されます。

context.params.yourvalue

limits

サーバーレス関数のレート制限にどの程度近づいているかを返します。

  • executionsRemaining:残っている実行数(1分あたり)。
  • timeRemaining:残っている実行可能時間。

ヘッダー

エンドポイントにアクセスしているクライアントのヘッダーを知る必要がある場合は、context.bodyを使用して情報にアクセスする場合と同様に、context.headersを使用してこれらのヘッダーにアクセスできます。

以下で、HubSpotが提供する一般的なヘッダーのいくつかについて確認します。完全なリストについては、MDNのHTTPヘッダーのドキュメントをご覧ください。

Use this table to describe parameters / fields
ヘッダーDescription
accept

クライアント側で処理できるコンテンツタイプをMIMEタイプとして示します。MDNを参照してください。

accept-encoding

クライアント側で処理できるコンテンツエンコーディングを示します。MDNを参照してください。

accept-language

使用される言葉とロケールを示します。MDNを参照してください。

cache-control

キャッシュ用のディレクティブを保持します。MDNを参照してください。

connection

ネットワーク接続が開いたままかどうかを示します。MDNを参照してください。

cookie

クライアントから送信されたCookieが含まれます。MDNを参照してください。

host

リスニングサーバーのドメイン名とTCPポート番号を示します。MDNを参照してください。

true-client-ip

エンドユーザーのIPアドレス。Cloudflare true-client-ipを参照してください。

upgrade-insecure-requests

レスポンスの暗号化および認証について、クライアント側の設定を示します。MDNを参照してください。

user-agent

アプリケーション、オペレーティングシステム、アプリケーションベンダー、バージョンを識別するためのベンダー定義文字列。MDNを参照してください。

x-forwarded-for

プロキシーまたはロードバランサーを通過するクライアントの発信元IPアドレスを識別します。MDNを参照してください。

ヘッダーの送信によるリダイレクト

locationヘッダーとstatusCode 301を含むレスポンスを送信することで、サーバーレス関数からリダイレクトを実行できます。

sendResponse({ statusCode: 301, headers: { "Location": "https://www.example.com" } });

サーバーレス関数によって、クライアント(ウェブブラウザー)にCookieを設定するように指示できます。

exports.main = (context, sendResponse) => { sendResponse({ body: { ... }, 'Set-Cookie': 'myCookie1=12345; expires=...; Max-Age=...', statusCode: 200 }); }

1つのヘッダーに複数の値を設定する

複数の値をサポートするヘッダーには、multiValueHeadersを使用して値を渡すことができます。例えば、ブラウザーに複数のCookieを設定するように指示できます。

exports.main = (context, sendResponse) => { sendResponse({ body: { ... }, multiValueHeaders: { 'Set-Cookie': [ 'myCookie1=12345; expires=...; Max-Age=...', 'myCookie2=56789; expires=...; Max-Age=...' ] }, statusCode: 200 }); }

シークレット

サーバーレス関数リクエストを認証する必要がある場合は、シークレットを使用して、APIキーや非公開アプリのアクセストークンなどの値を保存します。CLIを使用して、それらの値を保存するシークレットをHubSpotアカウントに追加することができます。その後でこれらの値にアクセスするには、環境変数(process.env.secretName)を使用します。シークレットの管理には、HubSpot CLIで以下のコマンドを使用します。

CLIを使用して追加されたシークレットは、そのシークレット名を含むsecrets配列を含めることで、関数で使用できるようになります。これにより、関数コードをバージョン管理に保存し、シークレットを公開せずに使用できるようになります。ただし、コンソールログを使用して、またはレスポンスとして、シークレットの値を返さないでください。そうすると、ログや、サーバーレス関数を呼び出すフロントエンドページで、シークレットが公開される恐れがあります。

注:キャッシュ保存のため、更新されたシークレット値が表示されるまでには、1分ほどかかる場合があります。シークレットを更新したばかりで、まだ古い値が表示されている場合は、1分ほどしてからもう一度ご確認ください。

フォーム要素からサーバーレス関数を使用する

サーバーレス関数の送信時には、JavaScriptを使ってフォーム送信を処理し、リクエストに"contentType" : "application/json"ヘッダーを使用します。<form>要素のaction属性は使用しないでください。

CORS

CORS(オリジン間リソース共有)はブラウザーのセキュリティー機能です。ブラウザーでは既定で、JavaScriptによって開始されたクロスオリジンリクエストが制限されます。これにより、異なるドメイン間で有害コードが実行され、貴社のサイトに影響を与えることを防止します。これは同一オリジンポリシーと呼ばれます。他のサーバーとのデータの送受信が必要な場合には、ブラウザーからの情報の読み取りをどのオリジン(発信元)に許可するかを示すHTTPヘッダーが外部サーバーから提供されることがあります。

HubSpot内にホスティングされたページでのサーバーレス関数の呼び出しにおいては、CORSの問題は発生しません。発生する場合、正しいプロトコルを使用していることを確認してください。

次のCORSエラーが発生している場合
「発信元[リクエスト元ページ]から[関数URL]へのフェッチ(取得)アクセスが、CORSポリシーによってブロックされました:プリフライトリクエストへのレスポンスが、アクセス制御検査に合格しません:要求されたリソースにはAccess-Control-Allow-Originヘッダーがありません。複雑なレスポンスを使用する場合は、リクエストのモードをno-corsに設定して、CORSが無効化されたリソースを取得してください。」

呼び出し元サイトとは異なるオリジンへのリクエストとは?

  • ドメイン名が異なる場合は、該当します。
  • 使用しているプロトコル(http、https)が異なる場合は、該当します。

使用しているプロトコルが異なる場合は、プロトコルを合わせて変更するだけで解決します。 

現時点では、HubSpotのAccess-Control-Allow-Originヘッダーを変更することはできません。

CORSエラーのトラブルシューティングに関する詳細はMDNを参照してください。

GETリクエスト

クライアントによっては、GETリクエストでCORSリクエストを行うことが可能な場合があります。GETリクエストでは書き込みを行わないで、データを返すだけにしてください。

事前に読み込まれるパッケージ

現在、HubSpotのサーバーレス関数には、以下の事前読み込みパッケージがあります。

サポートされる最新バージョンの事前読み込み済みパッケージ、または新たに追加されたパッケージを使用するには、次の手順に従います。

  1. 関数ファイルを複製またはコピーします。
  2. serverless.jsonファイル内の関数のエンドポイントを変更して、新しい関数ファイルを指すようにします。旧バージョンは問題なく削除できます。

事前に読み込まれる一連のパッケージには含まれないパッケージをインクルードするには、webpackを使用してノードモジュールを結合し、バンドルされたファイルを関数ファイルとして使用します。

制限

サーバーレス関数は、高速の特定用途を対象として設計されています。迅速な呼び出しとレスポンスを可能にするために、HubSpotのサーバーレス関数には、次のような制限があります。

  • 1アカウントあたり50件のシークレット。
  • 128MBのメモリー。
  • HubSpotアカウントあたり100件以下のエンドポイント。
  • 関数の呼び出しにはcontentType application/jsonを使用する必要があります。
  • サーバーレス関数ログの保存期間は90日。
  • AWS Lambda呼び出しでのペイロードは6MB。

実行制限

  • 各関数の実行時間は最大10秒に制限されます。
  • 各アカウントでは、1分あたり実行時間が合計600秒に制限されています。

つまり、次のいずれかのような状況での利用が可能です。

  • 10秒で完了する関数を60回実行する。
  • 100ミリ秒で完了する関数を6,000回実行する。

これらの制限を超える関数は、エラーになります。実行数と時間の制限には、429のレスポンスが返されます。各関数の実行時間は、サーバーレス関数ログに記録されます。

上記の制限を回避できるよう、実行中に自動で制限データが関数コンテキストに提供されます。その情報に基づいて、アプリケーションを制限内にとどめるような調整を行うことができます。例えばアプリケーションからエンドポイントへのポーリングが必要な場合、ポーリング頻度を調整するための変数をデータと共に返すことができます。これにより、トラフィックの増大時にも制限に到達しないようにポーリング速度を抑え、トラフィックの減少後に元に戻すことが可能になります。


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