CRMについて
HubSpotアカウントの基盤は、CRM(顧客関係管理)と呼ばれる、ビジネス上の関係性とプロセスのデータベースです。このデータを管理するために、HubSpotアカウントには関係やプロセスのタイプを表すオブジェクトが含まれています。各HubSpotアカウントには、コンタクト、会社、取引、およびチケットという4つの標準オブジェクトが用意されています。HubSpotのサブスクリプションによっては、製品やカスタムオブジェクトなどの追加のオブジェクトが提供されます。
レコードは、オブジェクトの個々のインスタンスです(例えば、John Smithはコンタクトです)。レコードごとに、情報をプロパティーに格納し、インタラクションをトラッキングし、レポートを作成できます。また複数のレコードを関連付けることで、相対的な関係を把握することができます。以下で、CRMオブジェクト、レコード、プロパティー、およびその他の機能に関する詳細をご確認ください。
オブジェクト
CRM APIは、オブジェクト、レコード、アクティビティーへのアクセスを提供します。以下のリストは、HubSpotで使用できるオブジェクトの説明を示しています。
次のオブジェクトは、それぞれHubSpot内にインデックスページを持っており、全て相互に関連付けることができます。
- コンタクト:個人に関する情報が格納されます。コンタクトのエンドポイントを表示
- 会社:個々の企業や組織についての情報が格納されます。会社のエンドポイントを表示
- 取引:コンタクトまたは会社との関係における収益機会を表します。成約または失注になるまでの間、パイプラインステージを通じて追跡されます。取引のエンドポイントを表示
- チケット:顧客からのサポート依頼を表します。チケットは、クローズされるまでの間、パイプラインステータスを通じて追跡されます。チケットのエンドポイントを表示
- コール:コンタクトとの通話に関する情報を格納しますが、エンゲージメントとして他のオブジェクトに関連付けることもできます。コールのエンドポイントを表示
- 見積もり:潜在顧客と共有される価格情報を表します。見積もりは、コンタクト、会社、取引、および承認項目に関連付けることができます。見積もりのエンドポイントを表示します。
- カスタムオブジェクト(「Enterprise」のみ):カスタムオブジェクトを作成すると、どのようなタイプのデータ(特に上記の標準オブジェクトに一致しないデータ)でも、HubSpotに格納できます。カスタム オブジェクト エンドポイントを表示
次のオブジェクトは、HubSpot内にインデックスページを持っていませんが、他の特定のオブジェクトに関連付けることができます。
- アクティビティー/エンゲージメント(コール、Eメール、ミーティング、メモ、タスク、SMS、LinkedIn、WhatsApp、郵便):レコードに関連付けられたインタラクションを表します。アクティビティーは、コンタクト、会社、取引、チケット、カスタムオブジェクトに関連付けることができます。エンゲージメントのエンドポイントを表示
- 製品:販売する商品やサービスを表します。製品を取引に関連付けたり、見積もりを生成したり、製品のパフォーマンスをレポートしたりすることができます。製品のエンドポイントを表示
- 商品項目:取引において販売する製品のサブセットを表します。製品は、取引に関連付けられると商品項目になります。個別の見積もり上に作成した商品項目は製品ライブラリーには追加されません。商品項目のエンドポイントを表示
- フィードバック送信:フィードバックアンケートに送信された情報を保存します。フィードバック送信はコンタクトレコードに関連付けられます。フィードバック送信のエンドポイントを表示
- マーケティングイベント:マーケティング活動に関連するイベント、具体的には、接続された連携機能を使ったイベントなどを表します。コンタクトがマーケティングイベントに参加したか、登録したか、参加をキャンセルしたかを指定できます。マーケティングイベントのエンドポイントを表示
オブジェクトの関係性
HubSpot内で、オブジェクトがどのように相互に関連しているかを示すために、さまざまなオブジェクトのレコードを関連付けることができます。例えば、複数のコンタクトを会社に関連付けて、会社および関連するコンタクトを取引に関連付けることができます。全てのHubSpotアカウントには、コンタクト、会社、取引、チケット、アクティビティーがあり、以下のモデルに示されているように、これらを相互に関連付けることができます。HubSpotアカウントへのアクセス権を持っている場合は、データ モデル ツールに移動して、アカウント固有のオブジェクト関係を確認できます。
サブスクリプションに応じて、関係ラベルを使用してレコード間の特定の関係を記述できます。場合によっては、アカウントには他の標準オブジェクトに関連付けることができる追加のカスタムオブジェクトがあります。製品や商品項目などの他のオブジェクトは、特定のオブジェクトにのみ関連付けることができます。これらの追加オブジェクトとその関連付けについて詳細をご確認ください。
オブジェクト関係と関連付けエンドポイントによる関連付けの管理について詳細をご確認ください。
アクティビティーと添付ファイル
アクティビティーとも呼ばれるエンゲージメントは、レコードとのインタラクションからのデータを格納します。例えば、プロスペクトに電話する場合は、コンタクトレコードに通話内容を記録し、関連付けられた会社にそれを関連付けることもできます。可能なアクティビティーとしては、メモ、タスク、ミーティング、Eメール、コール、郵便、SMS、LinkedInメッセージ、WhatsAppメッセージなどがあります。
関連ファイルをトラッキングするために、レコードの添付ファイルを格納することもできます。これらは、多くの場合エンゲージメントに関連します。
エンゲージメントAPIについて詳細をご確認ください。
データ同期
オブジェクトデータを同期するために、エンゲージメントデータを同期する必要はありません。オブジェクトは複数のエンゲージメントに関連付けることができるため、同期を実行する前にAPI制限を念頭に置いておくことも重要です。
ただし、完全移行に先立ち連携を行う場合は、プロパティーではなくエンゲージメントの同期が必要になる場合もあります。この場合、2つのシステム間でエンゲージメントを同期すると、全てのユーザーが、必要なデータを移行期間中にも利用できるようになります。例えば、HubSpotを採用している事業開発部門が、別のCRMを使用しているインサイドセールス担当と共同で取引を扱う場合、両方の部門が成約に必要な情報を共有できるようにエンゲージメントを同期する必要があります。
オブジェクトタイプID
特定のAPIを使用する場合は、objectTypeId
フィールドを使用する必要があります。各オブジェクトまたはアクティビティーのID値は次のとおりです。
- コンタクト:
0-1
- 会社:
0-2
- 取引:
0-3
- チケット:
0-5
- カスタムオブジェクト:カスタムオブジェクトのID値を見つけるには、
/crm/v3/schemas
にGET
リクエストを送信します。値は2-3453932
のような形式です。 - コール:
0-48
- Eメール:
0-49
- ミーティング:
0-47
- メモ:
0-4
- タスク:
0-27
- 製品:
0-7
- 商品項目:
0-8
- 見積もり:
0-14
- コミュニケーション(SMS、LinkedInメッセージ、WhatsAppメッセージ):
0-18
- 郵便:
0-116
- マーケティングイベント:
0-54
- フィードバック送信:
0-19
数値のID値はいつでも使用できますが、コンタクト、会社、取引、チケット、メモではオブジェクトの名前を使用できる場合もあります。以下に例を示します。
- インポートAPIでインポートを開始する際は、
columnObjectTypeId
で、ファイル内のデータがどのオブジェクトに属するかを指定します。コンタクトのデータをインポートするには、columnObjectTypeId
の値としてcontact
または0-1
を指定できます。 - 関連付けAPIを使用する際は、
fromObjectType
とtoObjectType
の値でオブジェクトと、関連付けの方向を指定します。コンタクトと会社との関連付けタイプを表示するには、GET
リクエストURLとして、crm/v4/associations/contact/company/labels
またはcrm/v4/associations/0-1/0-2/labels
を指定できます。
一括アクション
各オブジェクトには、1つのリクエストで複数のオブジェクトレコードの作成、読み取り、更新、およびアーカイブを実行するための一括エンドポイントが用意されています。一括エンドポイントには、1回の呼び出しにつきレコード100個までという上限があります。
プロパティー
レコードに関する情報は、プロパティーと呼ばれるフィールドに格納された後、グループに分類されます。各オブジェクトの既定のプロパティーに加えて、カスタムプロパティーを作成することによってカスタムデータを保存できます。
既定のプロパティー
CRMオブジェクトは、主な「タイプ」と「プロパティー」によって定義されます。タイプごとに標準のプロパティーがあり、名前と値のペアで表されます。オブジェクトごとの既定のプロパティーをご覧ください。
カスタムプロパティー
オブジェクトに特殊な情報を格納するには、カスタムプロパティーを作成します。カスタムプロパティーの管理は、CRMオブジェクトプロパティーのエンドポイントを使用して行うことができます。
レコード担当者
HubSpotユーザーをレコードの所有者として割り当てることができます。担当者として、オブジェクトへのアクセス権を付与されたHubSpotユーザーを割り当てることができます。また、専用のカスタムプロパティーを作成することで、1つのオブジェクトに複数の担当者を割り当てることもできます。担当者の作成はHubSpot上でのみ行えますが、IDやメールアドレスなどの詳細情報の取得には担当者エンドポイントを使用できます。このデータは、HubSpot上での操作やプロパティー変更API呼び出しにより、CRMレコードに割り当てることができます。
固有IDとレコードID
固有IDは、データベース内のあるレコードを、別のレコードと(仮にID以外の情報が同一であっても)識別するための値です。例えば、銀行のデータベースの中には、名前が同じ2人のJohn Smithさんのレコードが存在する場合も考えられます。誤ったJohn Smithさんに送金されることがないように、各レコードには固有IDが割り振られます。
このような固有IDは、データを適切なレコードに送信したり、重複削除を管理したりする際に使用します。HubSpotで重複削除がどのように処理されるかについては、ナレッジベース記事をご確認ください。
HubSpotの既定の固有ID
HubSpotでは、レコードが作成されると、固有IDが自動生成され、文字列として扱われます。このようなIDは、特定のオブジェクトタイプ内では一意になりますが、コンタクトと会社のIDが同じになる場合はあります。
コンタクトと会社の場合は、コンタクトの電子メールアドレスや会社のドメイン名など、他にも一意の識別子があります。
独自の固有IDの作成
HubSpotによって生成されたレコードIDは、主に高度な連携を実現する目的で利用できます。しかし場合によっては、貴社のアプリの連携ロジックが複雑になるケースも考えられます。以下に例を示します。
- 従来のCRMシステムには、レコードに関連付けられているHubSpotのオブジェクトIDを保存できないため、該当するレコードをシステム間で照合することはできません。
- 連携によって別のアプリからHubSpotに対する更新を同期できても、HubSpotからそのアプリに対しては同期できません。両方のシステムからのIDを照合する代わりに、連携ではレコードの作成時または更新時に単に外部アプリのIDが使用されます。
プロパティーAPIを介してカスタム一意識別子プロパティーを作成する方法についてご覧ください。
よくある質問
HubSpotのオブジェクトに関する詳細な情報については、CRMデータベースを管理する方法を参照してください。
貴重なご意見をありがとうございました。