CRMについて
HubSpotアカウントの基盤は、CRM(顧客関係管理)と呼ばれる、ビジネス上の関係性とプロセスのデータベースです。このデータを管理するために、HubSpotアカウントには関係やプロセスの種類を表すオブジェクトが含まれています。各HubSpotアカウントには、コンタクト、会社、取引、およびチケットという4つの標準オブジェクトが用意されています。また、HubSpotのサブスクリプションによっては、製品やカスタムオブジェクトなどの追加のオブジェクトが提供されます。
オブジェクトごとに、プロパティー情報の格納、やり取りの追跡、およびレポートの作成を行うことができます。また複数のレコードを関連付けることで、相対的な関係を把握することができます。CRMオブジェクト、レコード、プロパティー、およびその他の機能に関する詳細は、以下でご確認いただけます。
オブジェクト
CRM APIを使うと、CRMのオブジェクトとレコードにアクセスできます。HubSpotで使用できるオブジェクトは、以下のとおりです。
- コンタクト:個人に関する情報が格納されます。コンタクトのエンドポイントを表示
- 会社:個々の企業や組織についての情報が格納されます。会社のエンドポイントを表示
- 取引:コンタクトまたは会社との関係における収益機会を表します。成約または失注になるまでの間、パイプラインステージを通じて追跡されます。取引のエンドポイントを表示
- チケット:顧客からのサポート依頼を表します。チケットは、クローズされるまでの間、パイプラインステータスを通じて追跡されます。チケットのエンドポイントを表示
- カスタムオブジェクト:カスタムオブジェクトを作成すると、どのようなタイプのデータ(特に上記の標準オブジェクトに一致しないデータ)でも、HubSpot上に格納できます。カスタムオブジェクトは、カスタム オブジェクト エンドポイントを通じて作成し、標準オブジェクトに関連付けることができます。カスタム オブジェクト エンドポイントを表示
- 製品:販売する商品やサービスを表します。取引への製品の追加、見積もりの作成、製品の実績に関するレポートの作成を行うことができます。製品のエンドポイントを表示
- 商品項目:取引において販売する製品のサブセットを表します。製品は取引に紐付けられると、商品項目になります。個別の見積もり上に作成した商品項目は製品ライブラリーには追加されません。商品項目のエンドポイントを表示
- フィードバック送信:フィードバックアンケートに送信された情報を保存します。フィードバック送信のエンドポイント(英語)を表示
- マーケティングイベント:マーケティング活動に関連するイベント、具体的には、接続された連携機能を使ったイベントなどを表します。マーケティングイベントのエンドポイントを表示
プロパティー
HubSpotのCRMオブジェクトの詳細情報は、プロパティーと呼ばれるフィールドに保存されます。プロパティーは、いくつかのグループに分類されています。各オブジェクトの既定のプロパティーに加えて、カスタムプロパティーを作成することによってカスタムデータを保存できます。
既定のプロパティー
CRMオブジェクトは、主な「タイプ」と「プロパティー」によって定義されます。タイプごとに標準のプロパティーがあり、名前と値のペアで表されます。
オブジェクトごとの既定のプロパティーをご覧ください。
カスタムプロパティー
オブジェクトに特殊な情報を格納するには、カスタムプロパティーを作成します。カスタムプロパティーの管理は、CRMオブジェクトプロパティーのエンドポイントを使用して行うことができます。
プロパティーグループ
プロパティーグループは、関連する複数のプロパティーをグループ化するために使用します。HubSpotでレコードを表示すると、グループ化されたプロパティーが隣接して表示されます。カスタムプロパティーを作成して連携を行う場合は、カスタムプロパティーをカスタム プロパティー グループにまとめることでデータの特定が容易になります。
プロパティーの消去
オブジェクトプロパティーの値は、APIのプロパティー値に空の文字列を指定することにより消去することができます。
例:コンタクトオブジェクトからfirstname
を消去するには、本文を{ "properties": { "firstname": ""} }
と指定して、PATCH
リクエストをhttps://api.hubapi.com/crm/v3/objects/contacts/{contactId}
に送信します。
レコード担当者
コンタクト、会社、取引、チケットのレコードには担当者を割り当てることができます。担当者として、コンタクトへのアクセス権を付与されたHubSpotユーザーを割り当てることができます。また、専用のカスタムプロパティーを作成することで、1つのオブジェクトに複数の担当者を割り当てることもできます。担当者の作成はHubSpot上でのみ行えますが、IDやメールアドレスなどの詳細情報の取得には担当者エンドポイントを使用できます。このデータは、HubSpot上での操作やプロパティー変更API呼び出しにより、CRMレコードに割り当てることができます。
オブジェクトの機能
各HubSpotオブジェクトで使用できる機能は、以下の表でご確認いただけます。
オブジェクト | 機能 | ||||||
CRMビュー | レポート | 自動化 | リスト | Eメールのパーソナライズ | カスタムプロパティー | ||
コンタクト | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
会社 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
取引 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
チケット | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |
商品項目 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||
製品 | ○ | ○ | |||||
見積もり | ○ | ||||||
エンゲージメントまたはタスク | ○ | ○ | ○ | ||||
タイムラインイベント | ○ | ○ | |||||
○ | ○ | ||||||
カスタムオブジェクト | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
フィードバック送信 | ○ | ○ | ○ | ○ | |||
マーケティングイベント | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
オブジェクトの関係性
このエンティティー関係図(ERD)(英語)は、CRMオブジェクト間の構成と関係を示しています。
オブジェクトとレコードの関連付け
関連付けは、オブジェクト間の関係を表します。オブジェクトの関連付けは、関連付けエンドポイントを使用して管理できます。
レコードのエンゲージメントと添付ファイル
エンゲージメントには、レコードと自社との間のやり取りのデータ(メモ、タスク、ミーティング、Eメール、通話など)が格納されます。添付ファイルは、CRM内のレコードに保存されたファイルで、多くの場合、エンゲージメントに関連しています。API経由でレコードに添付ファイルを関連付けるには、hs_attachment_ids
プロパティーを使用して、メモ(英語)、コール、Eメール(英語)、またはミーティング(英語)にファイルを添付することができます。
データ同期
オブジェクトデータを同期するために、エンゲージメントデータを同期する必要はありません。オブジェクトは複数のエンゲージメントに関連付けることができるため、同期を実行する前にAPI制限を念頭に置いておくことが重要です。
ただし、完全移行に先立ち連携を行う場合は、プロパティーではなくエンゲージメントの同期が必要になる場合もあります。この場合、2つのシステム間でエンゲージメントを同期すると、全てのユーザーが、必要なデータを移行期間中にも利用できるようになります。例えば、HubSpotを採用している事業開発部門が、別のCRMを使用しているインサイドセールス担当と共同で取引を扱う場合、両方の部門が成約に必要な情報を共有できるようにエンゲージメントを同期する必要があります。
一括アクション
各オブジェクトには、1つのリクエストで複数のオブジェクトレコードの作成、読み取り、更新、およびアーカイブを実行するための一括エンドポイントが用意されています。一括エンドポイントには、1回の呼び出しにつきレコード100個までという上限があります。ただし、コンタクトの作成と更新については例外で、1回の呼び出しにつきレコード10個が上限になります。
固有IDとレコードID
固有IDは、データベース内のあるレコードを、別のレコードと(仮にID以外の情報が同一であっても)識別するための値です。例えば、銀行のデータベースの中には、名前が同じ2人のJohn Smithさんのレコードが存在する場合も考えられます。誤ったJohn Smithさんに送金されることがないように、各レコードには固有IDが割り振られます。
このような固有IDは、データを適切なレコードに送信したり、重複削除を管理したりする際に使用します。HubSpotで重複削除がどのように処理されるかについては、ナレッジベース記事をご確認ください。
HubSpotの既定の固有ID
HubSpotでは、レコードが作成されると、固有IDが自動生成され、文字列として扱われます。このようなIDは、特定のオブジェクトタイプ内では一意になりますが、コンタクトと会社のIDが同じになる場合はあります。
コンタクトと会社の場合は、コンタクトの電子メールアドレスや会社のドメイン名など、他にも一意の識別子があります。
独自の固有IDの作成
HubSpotによって生成されたレコードIDは、主に高度な連携を実現する目的で利用できます。しかし場合によっては、貴社のアプリの連携ロジックが複雑になるケースも考えられます。例:
- 従来のCRMシステムには、レコードに関連付けられているHubSpotのオブジェクトIDを保存できないため、該当するレコードをシステム間で照合することはできません。
- 連携によって別のアプリからHubSpotに対する更新を同期できても、HubSpotからそのアプリに対しては同期できません。両方のシステムからのIDを照合する代わりに、連携ではレコードの作成時または更新時に単に外部アプリのIDが使用されます。
このような場合は、独自に一意のIDプロパティーを作成することができます。一意のIDプロパティーは、オブジェクトあたり最大10個まで作成できます。以下の手順に従って、一意のIDプロパティーを作成してください。
1. プロパティーAPIを使用して固有IDフィールドを作成します。次のようなAPI呼び出しを使用します。
//POST https://api.hubapi.com/crm/v3/properties/deals
{
"groupName": "dealinformation",
"hidden": false,
"displayOrder": 2,
"name":"system_a_unique",
"label": "Unique ID for System A",
"hasUniqueValue": true,
"type": "string",
"fieldType": "string"
}
設定するキーフィールドはhasUniqueValue
です。こうすることで、このプロパティーについては、以後作成されるオブジェクト(この場合は取引)の値に重複が発生しないように指定できます。注:このフィールドは変更できないため、使用する場合には十分注意することをお勧めします。
2. 固有IDフィールドを作成したら、API呼び出しで使用して、特定のレコードを取得することができます。次のような呼び出しを行います。
GET
https://api.hubapi.com/crm/v3/objects/deals/abc?idProperty=system_a_unique
これにより、system_a_unique
フィールドの値がabc
である取引が返されます。レスポンスには既定でオブジェクトIDが含まれますが、この取引に263782
が割り当てられたことを把握しておく必要はありません。
よくある質問
CRMオブジェクトに関してご不明な点がございましたら、こちらのよくある質問をご参照ください。
貴重なご意見をありがとうございました。